作者のひとりごと 『ボウリング』
久々にボウリングへ行ってきた。
温泉をひくためにはかなり深く穴を掘らなきゃいけないんで
非常に苦労した・・・なんてことではもちろんなく
玉を転がして10本のピンを倒すボウリングである。
メンバー全員が久しぶりだったこともあり
まったりしながら楽しい時間を過ごしていたのだが
やはり普通のプレイだけでは面白くない!
ということで、最後のゲームはチーム戦となった。
これがまた本年度のベストマッチに選ばれるのは間違いない
と言っても過言ではないほどのいい試合で
観客や応援団が手に汗握ること必至の(いないけど)
一進一退の攻防が続いていたのだが、中盤に我がチームが
俺も含めて痛恨のミスを連発!結構な差がついてしまった。
相手の調子が安定していたこともあり
勝利の女神が相手に微笑むことを覚悟したのだが・・・
しかし!
なんと相手チームがいきなり崩れた!
気合を入れなおした我がチームは怒涛の追い上げ!
こちらのスコア表に次々と数字以外のマークが踊る!
やはり勝負は最後までわからないものだ。
そして、ついに最終10フレーム。
チームで最後に投げるのはこの俺だ。
しかし1投目を微妙に外してしまう。
「あぁ!」というため息が後ろから聴こえる。
次は相手の番だ。
よぉ~し!相手も外した!
自分でも驚くほどの集中力。
気持ちを込めて球を投げる。
よっしゃ~!スペア取ったぞ!
「おおー!」という歓声が後ろから湧き上がる。
が、しかし!しぶとく相手もスペアを取ってきた。
相手チームとの差は2ピン。
泣いても笑ってもこれが最後の投球。
ここで俺がしなければならないことは1つだけ。
それはもちろん、この3投目は少しでも多くのピンを倒し
最後の最後に同じ条件で投球する相手へプレッシャーを
与えることだ。
その時の俺は確信していた。
たった2ピンの差に泣くのは間違いなく相手チームだと。
勝利の女神は、間違いなく俺たちの所に光臨すると。
持った球に集中力を集める。
そして視線の先はど真ん中の1番ピンのみ。
数メートル先にずらっと並んだ10本のピンにめがけて
俺は腕を振り切った。
勢いよく転がっていく球。
そして、その球はピンを吹っ飛ばした!
10本並んでいる・・・
右端のピンを。
差は2本だというのにスコアの最後に表示される“1”という数字。
笑いが収まらず、最後の投球をなかなかできない相手。
もちろん他のメンバーもお腹を抱えている。
光臨したのが勝利の女神ではなく笑いの神だったことで
この先の自分の人生に少し不安を覚えた、ある初秋の一日であった。
by zompees
| 2012-09-28 22:04
| 作者のひとりごと
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